2014/12/06

GPIFと日銀

2014年10月31日、日銀の追加緩和策が発表になり、マーケットは円安株高が急激に進みました。日銀の追加緩和については後述するとして、同日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が基本ポートフォリオの変更を発表しています。

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(GPIFのHPより)


発表通りに受け止めれば、国内株式は12%⇒25%と+13%の買付余力があるようにも受け止められますが、実際の数字は少々違います。すでに株価が上昇している影響もあり、本年6月末と9月末のGPIFポートフォリオは以下のようになっています。

2014年6月末 2014年9月末
構成比率(%)     運用額(兆円)    構成比率(%)  運用額(兆円)
国内債券 53.4     67.96           49.61        64.93
国内株式 17.3     22.02           18.23        23.86
外国債券 11      14.00           12.14        15.89
外国株式 16      20.36           17.41         22.79

つまり、国内株式は2014年9月末で18.23%の構成比になっているというわけです。

その上で、この18.23%が仮に目標数値である25%になるとすると、6.77%の増加が見込まれます。

では、この6.77%を金額に直すと、いったいいくらになるのでしょうか?
2014年9月末の運用残高は130兆8846億円ですので、この金額に6.77%をかけると金額は8兆8608億円になります。

同様に計算しますと、
① 国内債券は19兆1224億円の売り越し
② 外国債券は3兆7432億円の買い越し
③ 外国株式は9兆9341億円の買い越し
が見込まれることになります。

また、2014年11月11日、外為市場では以下のようなニュースが流れました。
「米澤GPIF運用委員長:国債は前から売却しているが、今後も売却は継続する。
ポートフォリオ見直し後の乖離率の範囲に入っていくのは長くても1年はかからない。」

この発言を受けて、円安に拍車がかかることになりますが、それもそのはずで、
②と③を合わせると合計で13兆円を超える実需としての円売りが出ることが明らかなわけですから、これは実質的な円売り介入に他なりません。
ゆえにドル円を中心としてクロス円は下げたら買い。がコンセンサスになります。

また、話しを国内株式に戻しますと、1年以内に9兆円弱の買い越しが予定されているわけですが、この8兆円という金額はどれくらい株価にインパクトを与えるのでしょうか?

例えば、2013年の株式市場は年初の10500円程度から年末の16500円程度まで約60%弱の上昇を見せました。この年の外国人投資家の買い越し額が15兆1196億円です。
対して個人は9兆円弱の売り越しです。
NISAの登場もあり、その後個人の需給も好転して来ていますので、仮に2014年10月末の日経平均株価16500円が、60%上昇するとなると計算値は24750円となり、30%の上昇なら21450円となります。

また、GPIFのこうした運用比率の見直しは、国家公務員共済(約8兆円)、地方公務員共済(約36兆円)、私学共済(約3兆円)、などの公的・準公的資金運用のポートフォリオ見直しにも直結することから、実際の影響はより大きなものになる可能性が高いという側面もあります。

また、日銀の追加緩和策の内容は以下の通りです。

(1)マネタリーベース増加額の拡大(賛成5反対4)
マネタリーベースが、年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。
(2)資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の長期化(賛成5反対4)
① 長期国債について、保有残高が年間約80兆円(約30兆円追加)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間を7年~10年程度に延長する(最大3年程度延長)。
② ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。新たにJPX日経400に連動するETFを買入れの対象に加える。
以上(日銀のHPより)


以下のグラフは、(1)マネタリーベース増加額の拡大 と日経平均株価の動向を
示しています。

201412062.png


青線がマネタリーベース(左目盛)
赤線が日経平均株価(右目盛)

30年以上相場に携わって来ましたが、これほど需給要因が明らかな相場は初めてです。

2013年4月4日、日銀の黒田総裁は「異次元の金融緩和」を世界に宣言しました。
あれから1年半。

アベノミクス相場は完全に第2ステージに入っています。

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